「企業型DC」と「iDeCo」はいずれも確定拠出年金の一部です。ただし、これらには加入対象者も含めて、さまざまな違いがあります。
確定拠出年金に関する理解を深めるためにも、本記事では「企業型DC」と「iDeCo」の違いや併用、移換について解説します。
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは?
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が毎月積み立てを行い、加入した従業員が自身で年金の資産運用を行う制度です。企業型DCのDCとは「Defined Contribution」の頭文字を取った略語です。
企業型DCは、アメリカの確定拠出型個人年金制度「401K」が源流となっていることから、「日本版401K」とも呼ばれ、加入者の増加によって近年注目を集めています。ちなみに、企業が企業型DC(企業型確定拠出年金)を導入するメリットは次のページで詳しく解説しています。
参考:確定拠出年金(401k)とは何?種類やメリット、デメリットを徹底解説
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、老後資金を貯められる年金制度です。
国民年金や厚生年金とは異なり加入義務はなく、希望者が任意で加入します。毎月の積立金額は所得控除対象となる他、運用によって得た利益に対しては税金がかかりません。
ただし、iDeCoで積み立てたお金は60歳になるまで引き出せないといったデメリットもあります。また、iDeCoの利用には専用口座の開設が必要となり、開設・維持にそれぞれ手数料がかかります。
開設手数料は金融機関に関わらず「一律2,829円」ですが、維持費は利用する金融機関によって異なるため注意が必要です。
「企業型DC」と「iDeCo」における6つの違い
企業型確定拠出年金である「企業型DC」と個人型確定拠出年金の「iDeCo」の両者には明確な違いがあります。そのため、上手く運用するには両者の違いについてしっかりと理解しておかなければなりません。
「企業型DC」と「iDeCo」における主な違いは次の6つです。
- 運営主体
- 加入対象者
- 掛金の限度
- 積立期間
- 納付方法
- 給付方法
ここでは、違いごとの詳しい内容を解説します。
1.運営主体
【企業型DC】
- 企業型年金の規約承認を受けた企業
【iDeCo】
- 国民年金基金連合会
2.加入対象者
【企業型DC】
- 規約承認を受けた企業で勤務している社員
【iDeCo】
- 国民年金第1号被保険者:自営業など
- 国民年金第2号被保険者:会社員・公務員など
- 国民年金第3号被保険者:専業主婦・主夫など
3.掛金の限度
【企業型DC】
- 確定給付型年金を実施していない場合:月々55,000円(企業型DCの規約でiDeCoへの同時加入を認める場合:月々35,000円)
- 確定給付型年金を実施している場合:月々27,500円(企業型DCの規約でiDeCoへの同時加入を認める場合:月々15,500円)
【iDeCo】
- 国民年金第1号被保険者:月々68,000円(国民年金基金加入者だと掛金と合わせて68,000円)
- 国民年金第2号被保険者:確定給付型年金及び企業型DCに加入していない場合(公務員は除く)は月々23,000円
- 国民年金第2号被保険者:企業型DCのみに加入している場合は月々20,000円
- 国民年金第2号被保険者:確定給付型年金のみ、または確定給付型年金と企業型DCの両方に加入している場合は月々12,000円
- 国民年金第2号被保険者:公務員の場合は月々12,000円
- 国民年金第3号被保険者:月々23,000円
4.積立期間
【企業型DC】
- 厚生年金被保険者となった年齢から60歳まで積立可能(積立期間は規約次第で最大65歳まで延長可能)
【iDeCo】
- 厚生年金または国民年金被保険者となった年齢から60歳まで積立可能
5.納付方法
【企業型DC】
- 会社が口座振込・口座振替から納付
【iDeCo】
- 事業主払込(給与から天引きされ、会社の口座から振替)
- 個人振込(個人口座から振替)
6.給付方法
【企業型DC】
- 一時金受取か年金受取のどちらかを選択
【iDeCo】
- 一時金受取か年金受取のどちらかを選択
iDeCoと企業型DCの併用
iDeCoと企業型DCの併用は可能です。ただし、併用には次の条件を満たす必要があります。
- 企業型DC(企業型確定拠出年金)を導入している企業に勤務している
- 勤務先がiDeCoとの併用を認めている
2022年10月からは企業年金規約の定めがない場合でも、iDeCoとの併用が可能です。ただし、場合によっては加入できないケースもあるため、併用希望の場合は事前に確認しましょう。
iDeCoと企業型DCにおける移換
企業型DCの資格を喪失した場合、所定の手続きを行ってiDeCoへ資産を移換する必要があります。移換が必要となるケースは次のとおりです。
- 企業型DCのない企業などへ転職
- 役員就任などで企業型DCの対象者でなくなった
- 退職して国民年金の第1号被保険者になった(自営業など)
- 退職して国民年金第3号被保険者になった(専業主婦など)
上記に該当する場合は「運営管理機関一覧」に掲載される機関にて手続きを行う必要があります。
参考:【公式】運営管理機関一覧|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
企業型DCは会社にとってメリットの大きい制度の1つ
確定拠出年金には「企業型DC(企業型確定拠出年金)」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の2種類があります。両者はいずれも確定拠出年金であるもの「運営主体」「加入対象者」「掛金の限度」などの面でさまざまな違いがあります。
特に、企業型確定拠出年金(企業型DC)の導入は新しい福利厚生として従業員に提供が可能です。福利厚生は採用や有期雇用でも有効な情報となり、企業選びの材料にもなります。
企業担当者にとっては期間と労力をかけて導入する制度であるため、会社と従業員のにいずれにも喜ばれる制度にしたいものです。当社サンワプライニングでは「企業型DC」と「iDeCo」のいずれについてもプロの視点から、アドバイスしています。
制度設計や導入だけでなく、運営上の事務手続きもサポート可能です。ご興味がおありでしたら、ぜひお問合せフォームよりご連絡ください。