導入が進んでいる企業型確定拠出年金では、自らの運用によって将来受け取れる年金額が変わってきます。そのため、自らが積極的に年金制度や運用商品の理解を深めることが必要不可欠です。知識を深めるには、専門家に助言を受けることをおすすめします。

本記事では、企業型拠出年金に関する4つの相談先とそれぞれの特徴を解説します。

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?

企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。企業型DCは、従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入するかどうかを選択できる場合があります。

また、企業掛金を上回らない範囲で従業員が資金を上乗せするマッチング拠出金制度を導入している企業もあります。従業員は企業が拠出した掛金を、積み立てる金融商品の選択や、運用成績を見ながら資産配分を変更するなど、従業員自らがさまざまな運用を主体的に行います。

選択する商品は主にプロが株式や債券に投資をして運用する「投資信託」が主流となっており、これは投資元本を割り込む可能性のあるリスク商品と呼ばれています。ただし、長期に適切なリスク分散を行うことで、投資元本を上回るリターンを得ることも可能です。

そして、積み立てた元本と運用で得たお金はそのまま従業員の年金資金となります。引き出しは定年退職を迎える60歳以降に年金の形式で受け取る仕組みです。定年退職時に一時金(退職金)として受け取ることもできます。

ただし、積み立て中の年金資金は原則60歳まで引き出すことはできません。ちなみに「企業型DC」と「iDeCo」における違いについては次のページで詳しく解説しています。

「企業型DC」と「iDeCo」における6つの違いを紹介!併用や移換に関する内容も解説!

企業型確定拠出年金(企業型DC)について事前相談が必要な理由

企業型確定拠出年金(企業型DC)について事前相談が必要な理由

企業型確定拠出年金の制度を知っていれば大丈夫なわけではありません。なぜなら、確定拠出型年金では年金資産の運用を自分の判断で行い、資産残高や運用内容も自分で管理しなくてはならないからです。

運用には低リスクの銀行定期預金もありますが、リスク商品である「投資信託」が効率的な資産運用には欠かせません。そうはいっても、自分であれこれ調べたり聞いたりするのは時間も取られます。そのため事前に運営金融機関の相談窓口やコールセンターなどを探して、確定拠出年金制度の仕組みを相談することが重要です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)に関する4つの相談先

企業型確定拠出年金(企業型DC)に関する4つの相談先

​​企業型確定拠出年金(企業型DC)に関する4つの相談先には以下の4つが挙げられます。

  • コールセンター
  • 運営管理機関(銀行・証券会社・保険会社)
  • FP(ファイナンシャルプランナー)
  • セミナーや相談会

相談先によって手数料や相談窓口が異なります。それぞれの違いをここで解説しますので、チェックしてみましょう。

1.コールセンター

運営管理機関をしている銀行や証券会社、保険会社などはコールセンターを開設しており、こちらでの電話相談などが主流となっています。運営金融機関が開設していれば原則無料です。

ちょっとしたことならコールセンターへの相談で解決するでしょう。企業型の場合には運営管理機関を自分で選べないため、コールセンターを積極的に利用することをおすすめします。

2.運営管理機関(銀行・証券会社・保険会社)

上記のコールセンターと相談窓口・相談先という意味では基本的に同じです。しかし、直接話を聞くほうが理解が早いと考える方もいるかもしれません。

その場合、直接窓口に出向いて相談すると、年金制度を理解しやすいでしょう。運営金融機関は、基本的にコールセンターでの相談を受けているところが多く、直接窓口で相談を受けているのはごく少数です。

また、運営金融機関にもよりますが、確定拠出年金に詳しい担当が常勤していないと気軽に相談できないケースもあります。直接窓口を設けていない場合は相談できません。そのため、事前に調べて確定拠出年金の直接相談が可能か確認しましょう。

企業の年金担当者を通して、運営金融機関に問い合わせる方法もあります。勤務先の年金担当者にも確認してみましょう。

3.FP(ファイナンシャルプランナー)

FP(ファイナンシャルプランナー)に相談する方法もあります。コールセンターなどとは違い、必ずしも無料ではありません。相談前に相談料の確認をしましょう。

FPのオフィスは、銀行などと違うので街中を歩いていて、駅近の目につくところにあるわけではありません。必ずしもオフィスを構えているFPばかりではありません。

FPとつながるには、知り合いから紹介してもらう、ネットで探してみるなどが一般的でしょう。有料相談について「お金を払ってまで相談するのはためらってしまう」という方もいるでしょう。

初回は無料体験相談からというFPもいますし、無料では解決できない場合、有料相談に切り替えることができることもあります。

ただし、無料相談の場合は金融商品の販売などで収益を出しているケースもあるので、有料と無料で一概にどちらがいいとは言えません。お金を使うのにためらうのであれば、時間を使って無料相談のところにあたってみるのもいいでしょう。

4.セミナーや相談会

企業年金を運営する金融機関が相談会やセミナーを開催している場合があります。まずは、このような相談会に参加をしてみるのもおすすめです。各金融機関などが開催する相談会は、無料で参加できる場合が多くあります。

また、専門家やファイナンシャル・プランナー(FP)など、各金融機関には直接所属していない専門家が、中立的な立場で比較やアドバイス、勉強などができるセミナー等を開催している場合もあります。こうしたセミナーは無料・有料のいずれの場合もあり、無料で開催されていると金融機関がスポンサーになっているケースもあります。

そのため、有料の方がより中立的な立場から相談に乗ってくれるといえます。

企業型確定拠出年金(企業型DC)についてFPに相談する時のポイント

企業型確定拠出年金(企業型DC)についてFPに相談する時のポイント

企業型確定拠出年金(企業型DC)についてFPに相談する時のポイントは2つあります。

  • 確定拠出年金について詳しいFPに相談する
  • ホームページやブログなどの情報を参考にする

FPは「家計のお金の専門家」であり、その知識は税金や年金、不動産、資産運用など多岐にわたっています。FPに相談する時のポイントをそれぞれ解説しますので、見てみましょう。

確定拠出年金について詳しい人に相談する

FPが取り扱うお金に関する相談は家計に関わる税制や不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。このように、FPの相談業務は広範囲多岐に渡るため、FPごとにそれぞれに得意分野が異なっている場合があります。

例えば、銀行業務や住宅ローンに詳しい人、保険商品に詳しい人、税務や納税に詳しい人など、FPによって得意分野は様々です。すべてのFPが確定拠出年金について高度な知識を持っている訳ではありません。そのため、確定拠出年金に詳しい人に相談するのが的確なアドバイスを引き出すポイントになります。

ホームページやブログなどの情報を参考にする

前述した通り、導入されて日の浅い確定拠出年金に精通しているFPが多くないのが実状です。年金に精通しているFPを探すには、インターネットでの検索が有効といえるでしょう。

確定拠出年金に詳しいFPは、自社のホームページや個人のブログでも関連した記事を掲載していることがあります。ホームページやその他のネット記事を参照したうえで、相談の予約を取ることをおすすめします。

また、FPへの無料相談を募集しているWebサイトもあります。こうしたWebサイトでは、FPに何を相談したいのかなどの情報を書くことで、年金分野に詳しいFPが事前に相談内容を精査し、回答をある程度準備したうえで面談に臨めます。この方法であれば、的確な回答を得やすいといえるでしょう。

まとめ

まとめ

企業型確定拠出年金は企業型とはいえ、加入者が制度を理解したうえで運用する商品を選ぶなど、主体的な運用が求められます。Webサイトや年金加入時に配布された資料で制度やその他詳細を理解できれば問題ありません。

しかし、確定拠出年金はまだ導入から日が浅く、リスク商品での資産運用は資料を読むだけで内容を理解するのは難しいといえるでしょう。本記事で紹介した4つの相談先は、いずれも確定拠出年金を理解するうえで役に立ちます。効率よく資産運用するためにも活用しましょう。

当社サンワプライニングでは「企業型DC」と「iDeCo」のいずれについてもプロの視点から、アドバイスしています。制度設計や導入だけでなく、運営上の事務手続きもサポート可能です。

ご興味がおありでしたら、ぜひお問合せフォームよりご連絡ください。

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