将来や老後に向けてお金を貯蓄したい人は確定拠出年金(401K)の利用がおすすめです。確定拠出年金(401K)の利用により貯金が苦手な人も、計画的な貯蓄を実現できるでしょう。
しかし「積み立てたお金を受け取るにはどんな方法があるの?」など不安に思い、なかなか確定拠出年金(401K)の利用に踏み切れない人もいるのではないでしょうか。
税制上の優遇措置がある確定拠出年金(401K)の受け取り方を知っておいて損はありません。本記事では、確定拠出年金(401K)を受け取る方法や税制上のメリットを紹介します。
確定拠出年金(401K)を受け取る3つの方法
確定拠出年金(401K)を受け取るための方法は大きく分けて次の3つです。
- 一時金
- 年金
- 一時金と年金の両方
人によってベストな受け取り方は異なります。「私にはどんな受け取り方が向いているのか知りたい」という人の参考になるように、ここでは確定拠出年金(401K)の受け取る方法の特徴をそれぞれ紹介します。
1.一時金
一時金は一度にまとまった金額を得られる受け取り方法です。確定拠出年金で貯蓄した金額を一括で受け取れるため、退職時にまとまった金額を得たい人という人におすすめの受け取り方法です。
ただし、一時金は一度にまとまったお金を受け取れる反面、無駄な出費につながる可能性があります。将来や老後のためにお金を残せるように、計画的な貯金を心がけましょう。
2.年金
確定拠出年金(401K)を、5年や10年など年刻みで年金として受け取れます。年金として確定拠出年金(401K)を受け取る場合は、銀行など金融機関により年数や方法が異なります。
一時金とは違い、定期的な収入として受け取れるため大きな出費をするリスクが低いでしょう。まとまったお金があるとついお金を使ってしまう人や老後でも月々にお金を受け取れた方が安心できる人は年金として受け取るのがおすすめです。
確定拠出年金(401K)を受け取る期間は、生活習慣によっても選べるので自分の生活にあった受け取り方をしましょう。
3.一時金と年金の両方
確定拠出年金(401K)は、上記で紹介した一時金と年金、両方のもらい方が可能です。金額の一部を一時金で受け取り、残りを年金として分割して受け取れます。
一時金で受け取る金額と年金で受け取る金額、それぞれに係る税制は異なることは理解しておきましょう。計画的に貯金できるように、確定拠出年金(401K)の受け取り方は上手に使い分けましょう。
一時金として確定拠出年金(401K)を受け取る場合
確定拠出年金(401K)は受け取り方によって得られるメリットが異なります。一時金として受け取りを検討している人の参考になるように、ここでは一時金として確定拠出年金(401K)を受け取る場合のメリットについて詳しく見ていきましょう。
一時金として確定拠出年金(401K)を受け取る税制メリット
一時金として確定拠出年金を受け取ると、退職所得控除を利用でき独自の税率で所得税が算出されるため税金額を低く抑えられます。一時金を受け取る際は退職所得扱いになり、分離課税の対象です。
分離課税の対象になることで他の所得と合算せず、退職所得のみで所得税が算出されるため税金額を低く抑えられます。退職所得控除額によっては退職所得にほとんど所得税が係らないこともあるため、非課税で退職金を全額受け取ることも可能です。
退職所得控除が適用される対象
退職所得控除は、勤続年数によって異なり勤続年数20年が大きな境目になります。勤続年数20年以上と20年以下で退職所得控除額の算出方法も変わるので、確定拠出年金(401K)を受け取る際は、勤続年数を把握しておきましょう。
退職所得控除額の算出方法
退職所得控除額の算出方法は次の2パターンに分かれます。
- ①勤続年数20年以下 勤続年数×40万円
- ②勤続年数20年以上 70万円(勤続年数-20年)+800万円
以上が退職所得控除額の算出方法です。また、退職所得は算出した退職所得控除額を用いて導き出せます。
- 退職金-退職所得控除額÷2=退職所得金額
勤続年数が長くなるほど、退職所得控除額は高くなるので受け取れる退職金の額も比例して高くなります。確定拠出年金(401K)を可能な限り非課税で受け取りたい方は、20年を目安に働きましょう。
年金として確定拠出年金(401K)を受け取る場合
5年や20年など、確定拠出年金(401K)を分割して受け取れる年金。ここでは、年金として確定拠出年金(401K)を受け取る場合の、税制メリットや公的年金控除が適用される対象について紹介します。
年金として確定拠出年金(401K)を受け取る税制メリット
確定拠出年金(401K)を年金として受け取る場合は、雑所得になり他の所得と合算する「総合課税」として課税金額が算出されます。年金として確定拠出年金制度(401K)を受け取ることで老後給付金が公的年金控除の対象になり、一定金額まで税金がかかりません。
定年退職する60歳以降、病気や怪我のリスクが高くなる老後のことも考えると、年金として確定拠出年金制度(401K)を受け取るメリットはかなり大きいでしょう。
公的年金控除が適用される対象
確定拠出年金制度(401K)を年金として受け取る場合、公的年金控除の適用対象になります。公的年金控除額は、年齢によって算出方法が異なるので注意が必要です。
公的年金控除額の計算方式を65歳未満と65歳以上で表に記載したので、ご自分の年齢と収入を確認し雑所得がどれくらいになるか確認しましょう。
公的年金等収入 | 雑所得 | |
65歳未満 | 60万円以下 | 0円 |
60万〜130万円未満 | 収入-60万円 | |
130万円〜410万円未満 | 収入-0.75-27.5万円 | |
410万円〜770万円未満 | 収入-0.85-68.5万円 | |
770万円〜1000万円未満 | 収入-0.95-145.5万円 | |
1000万円以上 | 収入-195.5万円 |
続いて65歳以上の公的年金控除額です。
公的年金等収入 | 雑所得 | |
65歳以上 | 60万円以下 | 0円 |
60万〜130万円未満 | 収入-110万円 | |
130万円〜410万円未満 | 収入-0.75-27.5万円 | |
410万円〜770万円未満 | 収入-0.85-68.5万円 | |
770万円〜1000万円未満 | 収入-0.95-145.5万円 | |
1000万円以上 | 収入-195.5万円 |
雑所得の算出方法
雑所得を算出する際は次の計算方式を活用します。
- 公的年金等の収入額-公的年金控除額=雑所得
雑所得の算出方法を理解していると、確定拠出年金(401K)を年金としておおよそどれくらい受け取れるのか導き出せるでしょう。どれくらい年金を受け取れるのか自分で算出したい人は、雑所得の算出方法を覚えて損はありません。
確定拠出年金(401K)の最適な受け取り方法は人によって異なる!
ここまで、確定拠出年金(401K)を受け取る方法や税制上のメリットを紹介しました。確定拠出年金(401K)は一時金や年金、その両方など受け取り方の幅が広く自分のライフスタイルや将来設計に応じて受け取り方を選べるのが特徴です。
自分にあった受け取り方を選べると、税制上でメリットも多くなり係る税金も少なくなるので、より多くの確定拠出年金(401K)を受け取ることができるようになります。しかし、確定拠出年金(401K)の受け取り方は理解していても、自分達だけで受け取り方を選ぶのは不安という人もいるでしょう。
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